ニューロテクノロジー
~最新脳科学が未来のビジネスを生み出す
2019年11月9日紙版発売
2019年11月1日電子版発売
茨木拓也 著
A5判/272ページ
定価2,178円(本体1,980円+税10%)
ISBN 978-4-297-10859-5
書籍の概要
この本の概要
フェイスブック,イーロン・マスク……世界的な企業・投資家も注目,いま最も注目すべきイノベーションの最前線がわかる
「言葉を使わず脳から脳へ考えを伝達」
「クラウドファンディングの結果を脳の情報から予測」
「脳を刺激して痛みやADHDの症状を緩和」
SFの夢物語でしかないと思われていたことを実現するニューロテクノロジーの最前線を,新規事業や研究開発の第一線で活躍する著者が解説。
マーケティング,コミュニケーション,医療・ヘルスケア,人工知能まで,さまざまな分野の豊富な事例とともに,イノベ―ションを実現する技術の原理,そしてビジネスに応用し社会に浸透させるための課題がわかる。
こんな方におすすめ
- 最新テクノロジー~脳科学ビジネスに興味のある方(新規事業担当者,経営者,研究者,投資家など)
著者の一言
あなたは,「脳科学」や「ニューロテクノロジー」と聞いて,どんな期待やイメージがあるでしょうか。
「感性や感情が脳波ですべてわかっちゃうんでしょ?」
「私の子どもには○○という教育法を施しているけど,それって正しいの?」
「脳科学って,ヒトを洗脳する悪どい科学者たちの胡散臭い学問なんじゃないの?」
「脳科学の応用を仕事にしている」と人に言うと,高頻度でこのようなことを聞かれるのですが,ごめんなさい。本書は,そうした期待に答えることを目的としていません。もし脳に関しての知的好奇心をくすぐるトリビアや,学術的な知識を知りたければ,そのような一般書や専門書は多く出ているのでぜひそちらを読んでほしいですし,科学を離れたところで興味があるならオカルト雑誌や漫画を読むのもいいかもしれません。
本書で中心に議論するのは,「脳科学がいかに現実社会のビジネスに役に立つか?」という点です。基礎研究の世界で成し遂げられた脳に関する興味深い発見や技術は,まちがいなくビジネスの現場で役に立ったり,新たな事業のタネになることばかりです。
なぜ,そんなことが言えるのか。
「どんな製品にすれば魅力的に思われるか?」
「どんな広告をつくれば人が買ってくれるのか?」
「どんなふうにスキルを身につければいいのか?」
「もっと頭がよくなったり,アイディアを出せるようになりたい!」
ビジネスパーソンや消費者が日々ぶちあたるこういう悩みや願望の種は,じつはすべて脳の情報処理にひもづくものだからです。私たちの脳が,複雑な製品やサービスの情報を,感覚器官を通して認識し,その価値を学習して記憶し,極めて多量の選択肢の中から意思決定をするなど,高度な情報処理を担っているのです。
そして,そういう人間の“知的な情報処理”の背景にある計算基盤や情報表現,計算原理を,実験を通して科学的に解き明かそうというのが「脳科学」という学問であり,その技術的応用分野が「ニューロテクノロジー」です。
本書ではさまざまな脳科学の研究事例や技術を紹介していきますが,じつのところを言うと,知識そのものだけでなく,その研究成果を成し遂げるための過程と方法論が大事だと思っています。ヒトの脳は大なり小なり時代とともに変わるでしょうし,知識も技術も更新されます(脳科学の教科書なんてどんどん新版が出ますし,この本の内容だってすぐに古くなるでしょう)。だから,課題にぶつかった時,あなたを解決に導くのは埃のかぶった知識ではなく,「ヒトを科学する」方法自身の可能性が高いと思うのです。なので,読者のあなたには,表層的な知識を得るのではなく,技術や研究が生まれる過程こそが有益なものだと思っていただきたいです。そのために,本書では研究成果や技術が生み出された過程をできるだけ厚く書いています。
さて,この本の著者である私自身の話をすると,お恥ずかしながら脳研究者としてもビジネスマンとしても大したキャリアを積んでいない中途半端な身分です。ただ幸運なことに,「脳科学の応用」というテーマで100件を優に超えるプロジェクトをリーダーとして遂行する機会に恵まれてきました。多様な業界,多様な課題における実務経験(わずかな成功とたくさんの失敗)は,世界広しといえ,ちょっとは自信があります(クライアントのみなさま,すみません……)。
脳科学は,まだまだできないこと,わからないこと,言いきれないことだらけですが「真面目におもしろい」ことをやってきた科学者たちに敬意を表し,その知見や技術を実世界に役立てたいと考えています。そういう私の観点だからこそ伝えられる,脳の魅力とその有用性を少しでもお届けできたらうれしいです。
日々,モノづくり,マーケティング,事業開発など人間を相手にする仕事に悩みながらも熱意をもってがんばっているすべてのビジネスパーソンに,明日からの人間観・仕事観にちょっとでも好影響があることを祈って,本書を捧げます。
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