アイデアをカタチにする! M5Stack入門&実践ガイド[M5Stack Basic/M5StickC対応]

日本のM5Stackユーザのみなさんへ

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僕はM5StackのCEO,赖景明(Jimmy Lai)です。1982年9月生まれ。みなさんがM5Stackシリーズを楽しんでいることは,僕にとって最高にテンションがあがり,かつ心安らぐものです。この気持こそが,ハードワークして製品を更にイケてるものにしよう,という,自分のモチベーションになっています。
M5Stackのコンセプトは2015年に思いつきました。当時の自分は,おそらく多くの日本のエンジニアたちといっしょで,電子回路やロボット,プログラミング,さらには音楽が好きで,様々な発明やクリエイティブをたくさんしていました。でも,当時手に入る開発ボードはシンプルすぎて,アイデアのテストツールにはいいけど,完成品を作るのには足りなかった。どんな良い開発ボードでも「プロトタイプのときだけ使われてまた引き出しに仕舞われる⁠⁠。製品化のためにはまた回路やメカ,プログラムを,苦労して設計しなおさなければならない。僕はこのとき,⁠開発しやすくて,製品としても使える」開発キットのシリーズを作れないか? と思いついたのです。
2015年6月に研究を開始したときに,以下の問題に気づきました。

  1. 既存の開発ボードはケースのないただのPCBA基板なので,製品化するには筐体を別に設計しないとならない
  2. 既存の開発ボードの形状やインターフェースは統一されていなくて,拡張が難しい
  3. 既存の開発ボードは機能が多すぎて無駄が多く,実用性に欠けることも多い

そこで,

  • 機能別にモジュールを分類し,用途に応じて適切なモジュールを選択できる
  • サイズを統一
  • 製品レベルの筐体
  • 組み合わせたときに製品としての外観デザインが完成する

などを実現し,⁠爆速でプロダクトを作れる」ものができないかと考えました。
自宅の工作室で数ヶ月ハードワークして,第一世代のM5シリーズをつくりました。Arduino IDEが使えるMCU(ATMega32U4)を使い,3Dプリンタで筐体を設計し,5cm×5cmの統一したPCB基板,M5バスによる拡張,いくつか上下にStackできる拡張もありました。ちょうど,2015年末に深圳で「大衆創業・万衆創新Week」という展示会があり,M5シリーズの第1世代と30以上のモジュールを一般公開したところ,多くの深圳のメイカーたちに認められました。彼らは今もM5Stackを世界に広げ,ツールを必要としている人を増やすことに貢献してくれています。
もう一つの幸運で,2016年6月,世界的なハードウェアアクセラレータHAXのインキュベータプログラムに入ることができ,そこで各方面のプロフェッショナルから協力してもらうことができました。それによりM5Stackシリーズの量産体制が整い,2017年9月に正式販売を開始しました。以後ずっと,基本的に毎週金曜日に1〜3種類の新製品をリリースできています。これまで310以上のSKU,メインユニットだけで50万台以上を販売してきました。
創業以来,僕はずっとM5製品のプランナーでありデザイナーですが,実際はM5についてきちんとした計画があるわけではありません。しかし,僕らには無限のアイデアがあり,アイデア不足を心配したこともありません。僕らはM5Stackに全面的にコミットし続け,ユーザの声を聞き続け,M5Stackにとって有望な新技術を学び続け,コストパフォーマンスに優れたサプライチェーンで製品を製造し続けています。それにより,今のM5Stackは,⁠Jimmyにとって便利なもの」から,⁠世界にとって便利なもの」に変わりました。  だからこそ,僕はみなさんのアイデアや提案が大好きで,何が問題で,何が便利なのかを教えてほしいのです!研究開発を更に簡単にし,世界をよりよい場所にしましょう!
ずっとM5Stackを支えてくれた日本のユーザーたちに感謝します。自分が続ける限り,M5Stackは止まりません。
ぜひ,日本のMaker Faireやユーザーミートアップでお会いしましょう! ^_^

2022年1月28日 Jimmy Lai @M5Stack
翻訳:高須正和(ニコ技深圳コミュニティ)