知りたい!サイエンス
化学物質はなぜ嫌われるのか
――「化学物質」のニュースを読み解く
- 佐藤健太郎 著
- 定価
- 1,738円(本体1,580円+税10%)
- 発売日
- 2008.6.25
- 判型
- 四六
- 頁数
- 240ページ
- ISBN
- 978-4-7741-3517-5
サポート情報
概要
新聞・テレビなどで報じられる「化学物質」関連のニュース。そのほとんどは悪いニュースだが、なぜかくも「化学物質」は嫌われるのか? そして、それらは一体どこまで危険なものなのか? 実はその影で本当に危険なものが見過ごされてはいないのだろうか? 一方マスコミで持てはやされる「健康食品」の実力はどうなのか? 私たちの生活に深く関わりながら、そのわかりにくさから誤解されがちな「化学物質」の実際のところを、化学者の視点から明解に説き明かす。
こんな方にオススメ
- 化学(や物質)に興味のある人
- 環境、食品、健康、医薬などのサイエンスに興味のある人
- サイエンス一般に興味のある人
目次
第1章 リスクと向き合う
1-1 環境問題の難しさ
- わかりにくい危機
- 単純な論理には罠がある
1-2 ゼロリスクという幻想
- 恐怖の化学物質DHMO
- 悪魔の証明
1-3 リスクの許容ライン
- ベンゼン含有飲料は危険か?
- リスクはつきもの
1-4 「天然」と「合成」
- 「合成品は悪者」という公理
- 化学物質という言葉
- コラム:リスクを比較する
第2章 環境問題
2-1 ダイオキシンは猛毒なのか
- 史上最強の毒物?
- モルモットと人間は違った
- セベソ、そしてウクライナ
- 発ガン性をめぐる議論
- 学会と世間の溝
- 毒性は量しだい
2-2 DDTの運命
- 殺虫剤DDT
- 人類最大の感染症
- 魔法の薬
- 没落、そして
- DDTの復活
- DDT以後
2-3 界面活性剤
- 水と油の仲立ち
- SDSの濡れ衣
- 経皮毒商法の顛末
- ホラー話にだまされないために
2-4 環境ホルモン問題は今
- 世界が「メス化」している?
- 環境ホルモン説の登場
- 冤罪
- 騒動その後
2-5 ホルムアルデヒドの話
- 橋を架ける分子
- 毒性の原因
- シックハウス?
2-6 バイオエタノールの是非
- 石油時代の終焉
- 次世代エネルギーの条件
- バイオエタノールの問題点
- ブラジルのバイオエタノール事情
- シロアリが地球を救う?
- 日本のバイオエタノール
第3章 食品不安
3-1 合成着色料
- 「買ってはいけない」か?
- 着色料はアルコールより安全
3-2 甘味料の話
- 体が甘味を欲しがるわけ
- 甘味料いろいろ
3-3 アスパルテーム
- 合成甘味料たち
- アスパルテーム登場
- フェニルアラニンは毒?
3-4 保存料・殺菌剤
- ソルビン酸の濡れ衣
- 添加物バッシングが呼んだもの
- 塩素消毒は危険?
3-5 『食品の裏側』の裏側
- 「神様」の書いた本
- コーヒーフレッシュは添加物まみれ?
- 「添加物漬け」のトリック
- 怖いのは「知らないから」
3-6 プリン体の話
- プリン体とは何か
- 痛風の原因物質
- 尿酸は「天才物質」?
- カフェインもプリン骨格
3-7 謎の病原体・プリオンとBSE
- 奇病発生
- 謎の病原体・プリオン
- 学者と市民の間
- 結局、牛肉は食べてもいいのか?
3-8 中国食品の不安
- ジエチレングリコール報道
- 「基準値」の意味
- 「毒餃子」報道とその後
- リスクの「解禁」
第4章 健康食品
4-1 健康ブーム
- 「健康」とつきさえすれば
- 現実はわかりやすくない
4-2 アミノ酸
- 生命のアルファベット
- 何を燃焼するのか?
- 調味料としてのアミノ酸
4-3 コラーゲン
- 異端の多数派
- 3重鎖の留め金
- 化粧品として
- 食材として
4-4 活性酸素とポリフェノール
- 生命を脅かした毒ガス
- 生命の敵・活性酸素をつぶせ
- ポリフェノールの抗酸化作用
- 「抗酸化」の罠
4-5 大ブーム・コエンザイムQ10の化学
- 酵素のアシスタント
- もう一つの役目
- 逆効果?
4-6 ワインの威力・レスベラトロール
- 奇跡の長寿物質?
- 寿命を延ばす唯一の手段
- 擬似低カロリー状態を作り出す
- 赤ワインは長寿の飲み物?
- コラム:カテキンの意外な用途
第5章 医薬の光と影
5-1 生命を守る・医薬の闘い
- 医薬の効く仕組み
- 毒と薬
5-2 アスピリンの物語
- 医薬の王様
- 柳から生まれた薬
- なぜ痛みが止まるのか
- いまだ見えない全貌
- 副作用
- スーパーアスピリンの誕生
- 思わぬ副作用
- 医薬のジレンマ
5-3 サリドマイド復活の日
- 史上最大の薬害
- シェスキンの奇跡
- リウマチ、エイズ、ガンも
- 謎解きは続く
5-4 抗生物質の危機
- フレミングの神話
- 耐性菌の登場
- 最終防衛ライン、突破さる
5-5 タミフル騒動の虚実
- 「悪魔の薬」のレッテル
- 新型インフルエンザの脅威
- 異常行動の原因
- タミフルのリスクと利益
- コラム:ドラッグ・ラグ