News Hot Line

アドビ システムズ(株)代表取締役社長 ギャレット イルグ氏に訊く
>Adobeの戦略,AIRのインパクト

この記事を読むのに必要な時間:およそ 1.5 分

Adobe CS3のインパクト

2007年6月,日本の市場でもAdobe Creative Suite 3をリリースしました。すべての方から,大変前向きなコメントをいただいています。

大事なのは,MacromediaとAdobeの技術の統合を,お客さまがすぐに理解してくれたことです。PhotoshopからFlash Playerで表示できる画像を書き出したり,PSDファイルを直接Dreamweverの環境に移すことができます。また,PhotoshopやIllustratorのネイティブファイルをFlashに読み込めるようになりました。このように,アプリケーションをいったん閉じることなく,一連の統合されたワークフローの中で作業を続けられるメリットをすぐに理解してくれました。

今では,印刷/Web/モバイルまで,一連の流れで広げられるようになりました。その中で,Device Centralが担う役割はとても重要です。Device Centralにより,見かけだけではなく,ボタンの稼動法や消費電力の管理,同じコンテンツが各デバイスでどのように表示されるのかといったことが,より効果的に確認できるため,モバイル業界以外のデスクトップアプリケーションを開発する業界の人がアプリケーションやコンテンツを作ることができるようになりました。

Flashが担う役割

まず,Flashはプラットフォームというより,スタンダードだと考えています。安全にプログラミングができる開発環境であり,さらに技術面での信頼性があります。また,ユビキタスであるという点でもどんどん広がっています。

もちろん,プラットフォームの概念も重要です。私たちは,Flash,Flex,LiveCycleなどの技術を1つにまとめて,Webやアプリケーションを作る環境を提供しています。クリエイティビティをプロセスに広げていくことが可能です。いろいろなところにその例は見られますが,たとえばWebインフラです。アコーディオンメニューやスライドなどのあるアプリケーションがあります。それから,透過性などもアプリケーションで利用できます。

すなわち,Flash,Flex,Flexデータベースサービス,開発ツール,インターネットツール,これらすべてがまとまって稼動する形でエンドユーザに渡すことができます。そのため,ユーザは非常に連鎖性の高い体験を得られます。こうしたことをプラットフォームと考えます。

今Webの世界では,連鎖性の高いアプリケーションでなければエンドユーザの目を惹き付けることはできません。Flash,Flex,LiveCycleの環境を取りまとめて提供でき,市場は非常に満足してくれるはずです。

また,AIR(Adobe Integrated Runtime,コードネームApollo)に関して開発コミュニティから積極的な反応をいただいているのも,同じことだと思います。

アドビ システムズ⁠株⁠代表取締役社長 ギャレット イルグ氏

アドビ システムズ(株)代表取締役社長 ギャレット イルグ氏

AIRの登場,そしてこれから

AIRは,FlashとPDF,言い換えればMacromediaとAdobeを統合した結果です。AIRは,世界で最もユビキタスな2つの技術が,1つの環境で提供されるものです。しかし,AIRはこの点においてだけ重要なのではありません。そうではなく,大きなイノベーションであることが重要なのです。

これまではWebのサービスを利用するとき,ブラウザを介してアクセスしてきましたが,AIRによって,デスクトップ環境でも実現できるようになりました。これには,私自身興奮していますし,開発コミュニティが盛り上がってくれるはずです。

さらに,プログラムをできるランタイム環境を提供し,アプリケーションレベルでの開発ができます。そして,オンラインでもオフラインでも作業を続けることができる。これも非常に大きなことです。

つまり,ブラウザを越えたということです。そこで,2つのユビキタスな技術を使うことができる。特定のOSに依存することもありません。私が開発者ならば,とてもエキサイティングだと感じるはずです。また,SIerならば,すごくおもしろいと感じるはずです。なぜなら,アプリケーションレイヤに目を配りながら,そのままSaaSという形でインターネットを介して読み出すことができるからです。PDFやFlashを使ってエンドユーザが自分のアプリケーションにアクセスすることができるのです。

Adobe MAX JAPAN 2007に向けて

Adobeは,お客さま,開発者に対して,コミュニケーションを取っていく責任があります。それを実現すべく,MAX JAPANは重要なイベントとして考えています。

今度のMAXは,Macromediaを買収してから初めて日本の開発者の皆さんとコミュニケーションを取る機会です。さまざまな話題がそこには盛り込まれてきます。技術の統合,ランタイムの話,さらには,Adobeの技術を使って,日本の,また世界のお客さまが何をしているか,それをこのイベントで見ていただくことができます。イノベーションを体験していただく,非常に有意義な機会です。ぜひ皆さんもご参加ください。


――ありがとうございました。

Adobe MAX JAPAN 2007
2007年11月1,2日開催
問い合わせ:アドビ システムズ⁠株⁠
URL:http://www.adobe.com/jp/