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2007年8月7日,都内でアジャイルプロセス協議会主催セミナー2007が開催されました。今回は東京会場と神戸会場がライブ接続され,両会場同時進行でセミナーが進められました。
午前のセミナーの様子―平鍋健児氏が講演
協議会会長の羽生田栄一氏の挨拶に続いて,「現場力を高める見える化手法プロジェクトファシリテーション~モチベーションアップのツールと場作り」と題して株式会社チェンジビジョンの平鍋健児氏によるセミナーが行われました。平鍋氏によると,プロジェクトファシリテーションでは
- 見える化:目に見えるようにして,行動につなげるチリズム:人間活動として定期的なリズムを設計するチ名前付け:気づいた概念に名前を付けておく
- 問題vs.私たち:「問題」と「人間」を分離する
- カイゼン:継続的に今の自分達でできる小さいことから始める
が大切だそうです。導入のポイントは,簡単なものからやってみる,そのままではなく工夫する,若い人を巻き込み一緒にやる,問題を明確にして解決法を探す,といったことにあるそうです。
午後のセミナーの様子―各WGが活動成果を発表
午後は協議会の各WGによる活動成果発表が行われました。
アジャイルプロジェクトマネジメントWGの梅田明由氏は「アジャイル失敗学」というテーマでアジャイルプロセス導入時の注意点やポイントを発表しました。機器の準備や予算が下りない段階でイテレーションを開始した例など,油断すると起こりがちな失敗談と対策がわかりやすく語られました。
アジャイルマインド勉強会の天野勝氏は「モチベーション低下を体感するミニミニワークショップ」という,参加型の発表を行いました。気づきを共有する場合としない場合で,どれだけモチベーションが違ってくるかを短時間で体感することができました。
アジャイル・ソフトウェアセル生産WGの大槻繁氏は,「アジャイルプロセスとソフトウェアセル生産のチームデザイン」というタイトルで,アジャイル・ソフトウェアセル生産方式をベースにしてチームをデザインする実践例を報告しました。人月の代わりにセル月を活用する事例やセル生産を新人教育に使う事例が紹介されました。
アジャイルTOC WGの進藤寿雄氏は,「TOCで考えるソフトウェア環境の現状問題と未来」というテーマで,TOC(制約理論)をアジャイル開発に適用するポイントを紹介しました。TOCを活用することで全体最適の視点が加わるほか,思考プロセスのツールとして有効なことが述べられました。サービスウェア理論のように,TOCの概念を利用した新たな理論も生まれてきているそうです。
このほか,組み込みソフトウェアとアジャイルプロセスWGの土屋秀光氏が神戸会場よりライブ中継で発表したほか,J-SOXとアジャイルな関係勉強会の新保康夫氏,見積り・契約ガイドラインWGの北野弘治氏もこの1年の活動内容を総括しました。
最後に行われたパネルディスカッションは,神戸会場をライブで巻き込む形で行われました。やや画像や音声が乱れることがありましたが,新しい試みとして評価できるものでした。
- アジャイルプロセス協議会Webページ
- http://www.agileprocess.jp/