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ネットの普及と素朴な疑問
私が社会に出て働きはじめた1990年当時,パソコンはスタンドアローンで使うのが普通,「ネットワーク」といえば「端末とホストコンピュータのオンライン処理のこと?」「LAN構築なんて莫大なお金がかかる」が当たり前でした。そのうちパソコンが普及し,パソコン同士がケーブルでつながれるようになり,インターネットが登場し,あれよあれよという間に「ネット」につながっていることが当たり前になっていきました。この分野では「失われた10年」なんてなかったなあというのが実感(遠い目)。
懐古モードはさておき,一番身近な「ネット=ネットワーク」といえば今や「インターネット」のこと。誰もが気軽につないで利用しているけど,「これって本当はどうなの?」という素朴な疑問も多いのでは?たとえば,「ネットからパソコンに侵入されて踏み台にされるってどういうこと?」とか「クッキーって便利だけど,なんで前の情報を覚えているの?」とか「なんで匿名の犯行予告なのに素性がわかって逮捕されるの?」とか「"ドメイン"ってよく聞くけど,実は意味がよくわからない」とか「え?インターネット電話とIP電話って違うの?」とか……。そんな素朴な疑問を解決するのが『ゼロから知りたい!インターネットと自宅LANのしくみ』です。そのなかから「インターネットでの匿名性」についてちょっと紹介しましょう。
インターネットには匿名性はない!
インターネットでは,匿名で掲示板などに書き込みできます。でも「明日,○○駅で人を殺します」などと犯行予告した人が逮捕されるのはなぜ? 素性がバレているの? はい。バレバレです。インターネットにつながるコンピュータにはすべて「IPアドレス」という個別の識別番号が割り振られていて,ネットを利用するときには自分のIPアドレスを知らせて情報を受け取っているからです。IPアドレスは契約しているプロバイダで割り当てられ,管理されています。通常は,第三者にIPアドレスの利用者を知らせることはありませんが,事件性のあるものは警察や裁判所の要請によって開示されます。だから,誰が書き込みをしたのかはわかってしまうのです。バレないと思ってイタズラ心でバカな書き込みをするのは自分の首を絞めるだけのことです。
ちなみにネット上で悪質な書き込みをして「威力業務妨害罪」が適用されると,3年以下の懲役または50万円以下の罰金を科せられます。
IPアドレスは知られても大丈夫
書き込むとIPアドレスが表示されるようになっている掲示板,ここに書き込むと個人情報がわかってしまう? いいえ。この場合,一般の利用者が書き込んだ人のIPアドレスを見たからといって,そこから氏素性までわかるものではありません。利用しているプロバイダや,所属している学校や会社くらいしかわかりません。プロバイダが明かさない限り,IPアドレスから個人情報を知られることはありません。とはいっても,IPアドレスが表示されると,悪質な書き込みはしずらくなるものですよね。
以上,ネットの素朴な疑問をひとつ紹介しました。IPアドレスについては,本書でもっとじっくり解説しています。
ネットワークの世界は広くて奥深いもの。すべてを語ることはできませんが,本書では,個人ユーザーがインターネットやLANを導入するときに知っておきたい基本的なことや便利な事柄をまとめました。これから自宅LANを構築するなら無線LANがいいかなあと思っている人も多いでしょう。気になる無線LANのセキュリティの話もばっちりです。ネットライフにこれらの情報がお役に立てれば幸いです。