OSSデータベース取り取り時報

第53回 MySQL& PostgreSQLの2019年の主なニュースと,オープンソースカンファレンス2020でのOSS-DB企画

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本年も,OSSコンソーシアム データベース部会のメンバーによる本連載をよろしくお願いいたします。今回は年始恒例のMySQLとPostgreSQLの2019年の主なニュースを紹介します。また,大阪と東京で開催される,オープンソースカンファレンスでのデータベース特別企画へのお誘いもあります。

オープンソースカンファレンス大阪/東京でOSSデータベース特別企画

全国で開催しているオープンソースの祭典,オープンソースカンファレンス(OSC)の2020年開催が始まります。大阪(1月)と東京(2月)で,複数種類のOSSデータベースやその関連情報をまとめてお聴きいただける特別企画を準備中です。OSSコンソーシアムデータベース部会が,他のOSS団体やOSSデータベース関連企業の皆さんと共に実施します。

OSC 2020 Osaka,『OSSデータベース入門セット ~二大OSS-DB &アプリ開発“超”入門』

日時
2020年1月25日(土), 14:00~15:45 ⁠予定)
※時間帯は変更になる場合がありますので,OSCの公式ページでご確認ください。
会場
大阪・堺筋本町,大阪産業創造館
概要
関西のみなさん,お待たせしました。OSSコンソーシアムとオープンソースビジネス推進協議会(OBCI)の2団体共同企画です。⁠OSSとOSSデータベースを使えるエンジニアをもっと増やしたい⁠⁠。そんな思いで,日本のOSS界を代表する2団体とメンバが入門セミナーを行います。前半は,OSS界を代表するベテラン講師によるショート講義。後半は,新人エンジニアによる実践的アプリ開発解説。ベテラン+若手でタッグを組んで,DBの理解をサポートします。さて,ベテランと若手のどちらがわかりやすいレクチャーになるでしょうか。
内容と発表者(予定)
  • MySQL⁠超⁠入門 ―梶山 隆輔,Oracle Corporation MySQL GBU/データベース部会
  • PostgreSQL⁠超⁠入門 ―北山 貴広,SRA OSS/OBCI
  • 「OSS-DB取り取り時報」総集編2019 ―溝口 則行,TIS/OSSコンソーシアム/OBCI
  • Laravel入門(DB有り)―岡田 州平,滝澤 正大,デジタル・ヒュージ・テクノロジー/データベース部会

発表者(左から梶山,北山,溝口,岡田,滝澤)

発表者(左から梶山,北山,溝口,岡田,滝澤)

OSCの詳細や参加エントリはOSC OsakaのWebサイトをご覧ください。

OSC 2020 Tokyo/Spring,OSSデータベースの集中セミナー群を計画中

日時
2020年2月21日(金)もしくは22日(土)のいずれか
会場
駒澤大学 駒沢キャンパス
概要
毎号ちょっとしたフライング(先走り)告知をしていますので,今回もやってしまいましょう。これまで単独で開催してきたOSSコンソーシアムデータベース部会の「OSSデータベース比較セミナー」を,オープンソースカンファレンスの会場で開催しようとしています。これは,他のOSS団体やOSSデータベース関連企業の皆さんのご協力をいただきながら,現在鋭意計画中です。前述のOSC 2020 Osaka特別企画よりも,さらにパワーアップし,時間枠も拡大したものにしたいと企んでいます。次号で詳しい情報をお伝えします。ご期待ください。

[MySQL]2019年12月の主な出来事

2019年12月はMySQLの製品リリースはありませんでした。

2019年のMySQLの重大(?)ニュース

ここでは2019年のMySQL関連の出来事を振り返っていきます。2年半振りとなるメジャーバージョンのリリースとなった2018年4月のMySQL 8.0のGAリリース以降も,大型かつ重要な新機能がマイナーバージョンアップにも関わらずどんどん追加された一年でした。2019年は,IPv6関連のバグ修正で緊急リリースしたMySQL 8.0.15を含めて4つのマイナーバージョンがリリースされました。

1 ログの透過的暗号化(MySQL 8.0.14) & システム表領域の透過的暗号化(MySQL 8.0.16)
MySQL 5.7から利用できたInnoDBの表領域の透過的暗号化機能でしたが,MySQL 8.0.14からはバイナリログおよびInnoDBのREDOログおよびUNDOログも透過的暗号化が利用可能となりました。MySQL 8.0.16でシステム表領域の透過的暗号化もサポートされたことでMySQL内の全てが透過的暗号化することができるようになりました。
2 CHECK制約の実装(MySQL 8.0.16)
2004年に最初のFeature Request(機能追加要望)がバグDBに登録されてから15年を経てようやくCHECK制約が実装されました。MySQL 8.0.17で実装されたJSONスキーマの検証関数と組み合わせることでJSONドキュメントのスキーマを強制することも可能です。
3 クローンプラグイン(MySQL 8.0.17)
レプリケーション構成にスレーブを追加する際に便利なクローンプラグインが追加されました。MySQLプロトコルを使って既存のMySQLサーバーのクローンを作成できる機能がプラグインとして登場しました。MySQL InnoDB Clusterだけではなく従来型のレプリケーションにも利用可能です。
4 ハッシュ結合(MySQL 8.0.18)
こちらも長年実装が期待されていた機能です。インデックスが列を利用してのJOINの性能向上が期待されます。
5 MySQL Innovation Dayの開催
2019年もMySQLの開発者やプロダクトマネージャーが来日してのイベントが11月に東京と大阪で開催されました。5月にはMySQL NDB Clusterの開発チームの来日にあわせたセミナーも開催されました。
6 MySQL Technology Cafeの開始
オラクルのデベロッパコミュニティ向けのMeetup セミナーであるOracle Code Tokyo Nightの一つとして,2019年2月からMySQL Technology Cafeが始まりました。ゆるい雰囲気の中で幅広い技術ネタをご紹介する勉強会として開催されています。2020年も引き続き多彩なネタをご提供予定です。
7 MySQLの新規事例続々
2019年もさまざまなMySQL利用事例が紹介されました。2月に公開されたLINEでのMySQL Enterprise Edition導入事例を筆頭に,ヤフー,マイナビ,f4samurai, GREEなどの事例が出てきています。MySQL Technology Cafeではスクウェア・エニックスでのMySQL 8.0へのバージョンアップ,BitcashでのMySQL NDB Cluster利用,Facebookの高可用性構成といった実践的なテーマが紹介されています。
8 日本のMySQLユーザーの海外での事例講演続く
日本オラクルのMySQL Global Business Unitでは日本のMySQLユーザーの海外イベントでの講演を積極的に支援しており,2019年は3イベント4社の海外講演がありました。
  • 3月 シンガポールでのFOSSASIA:スクウェア・エニックスの事例講演
  • 8月 台北でのCOSCUP:スクウェア・エニックスとLINEの事例講演
  • 10月 サンフランシスコのOracle OpenWorld: メルカリのMySQL Analytics Service検証結果に関する講演

2019年ならではの話題としては,日本MySQLユーザ会代表のとみたさんが「MySQLと令和」とのタイトルでMySQLのキャラクタセットや照合について講演されていました。⁠令和」の文字だけでも,UnicodeのCJK統合漢字とCJK互換漢字,Unicodeの異体字セレクター,さらには合字などさまざまな確認すべき事項があることが紹介されています。

とみたさんのスライド

2019年にはMySQL 関連のセミナーで登壇された方にはイルカのぬいぐるみが贈呈されていました。ぬいぐるみの贈呈式など様子は12月末にTwitterのMySQL日本語公式アカウントにて写真が掲載されています。

MySQL日本語公式Twitterより

著者プロフィール

梶山隆輔

MySQL Sales Consulting Senior Manager。

日本オラクル(株)において,MySQLのお客様環境への導入支援や製品の技術解説を担当するセールスコンサルタントチームのアジア太平洋地域リーダー。多国籍なMySQL部門にて,オーストラリア,インド,台湾などに在籍するチームメンバーを束ね,アジア太平洋地域の25以上の国や地域でのMySQL普及やビジネスの拡大をミッションとする。


溝口則行(みぞぐちのりゆき)

TIS株式会社

OSSコンソーシアム副会長兼データベース部会リーダ。他に,PostgreSQLエンタープライズ・コンソーシアム(PGECons),日本OSS推進フォーラム(JOPF)にも参画。また,OSS推進活動の他に,日本のIT業界がDX(デジタルトランスフォーメーション)の波の藻屑とならないように,DX推進と変革に微力ながら勤しむ。