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技術者養成とスキル向上の「共通プラットフォーム化」が進む 「組込みソフトウェア技術者試験」(エントリレベル向け)開始!

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経済産業省が発表した「2006年版組込みソフトウェア産業実態調査報告書」にもあるように,現在,組込みシステム業界が抱える課題の1つに「人材育成」が挙げられる。その対策としてIPA(独立行政法人情報処理推進機構)による「ETSS(組込みスキル標準⁠⁠」の整備が進められていることは周知のとおりだ。

組込み技術者試験制度

このような状況において,⁠社)組込みシステム技術協会(JASA)は,組込み技術者試験制度(ETEC;Embedded Technology Engineer Certification)を2006年11月9日より開始する(受付開始は11月6日から⁠⁠。同試験は,まずクラス2(エントリレベル)として開始され,組込みソフトウェア技術者としての知識レベルの指針とともに,キャリア指標の1つとなることを目的としている。特徴として,合否判定ではなく点数(スコア)方式を採用しているので,学習の達成度判定や技術者評価などに活用ができるという。また試験はCBT(コンピュータ)方式で実施し,毎日受験できる。なお,開始を記念して受験料が特別割引されるキャンペーンが実施されている(詳しくは公式Webサイトより⁠⁠。

IPAによる情報処理技術者試験制度のテクニカルエンジニア(エンベデッドシステム;ES)試験との違いについて,JASA常任理事の澤田勉氏(イーソル㈱ 代表取締役社長)「ES試験は⁠認定⁠試験で,ETECは点数方式であるということです。つまりETECは自分のスキルの棚卸しや将来を見据えるために⁠ETSSを活用するためのツール⁠として利用できます」と強調する。先にクラス2(エントリレベル)のみ開始されたが,クラス1(ミドルレベル)については近日中に正式発表となる予定だ。また,ETECの位置づけとして,澤田氏は「情報家電や自動車など業種が異なれば,必須の応用技術はどうしても異なります。その意味でもETECのエントリレベルは,共通のプラットフォーム部分の知識を確認する試験内容を想定しています。今後はそれぞれに特化した応用技術について,たとえばTRON協会など他の団体と調整している最中です」と明かした。

研修サービス

また研修サービスを提供する企業でもETECに対応した講座を予定しているところが多い。そのうちの1社で1年半前から組込み系講座の提供を始めた⁠株⁠富士通ラーニングメディアでは「製品ドメインに特化した部分よりも,まずはエントリからミドルレベルを網羅していく予定です。ミドルレベルに達することで,たとえば自分でマニュアルを読んでさらに理解を深めることが可能になります」⁠研修事業部長 羽賀孝夫氏)という。さらに,最近特に求められる内容として,⁠プロジェクト型の教育です。たとえば,特定の製品を想定して,そこから設計や実装,テストなど一連の作業を行う仮想OJTのようなものです。弊社では,もともとエンタープライズ系でこういった教育ノウハウがありますので,たとえば受講生5名でプロジェクトを組んでもらい,上司やテスト要員などに役割分担して,報告や指示などを行っています」⁠研修事業部 プロジェクト部長 石川賢司氏)と付け加えた。

組込みシステム業界にとって,ETECや研修サービスによる技術者養成やスキル向上の「共通プラットフォーム化」が着実に整備されている。今まさに,組込み業界の人材育成の転換期といえる。

組込みソフトウェア技術者試験クラス2(概要)

対象者像
エントリレベルのソフトウェア技術者としての知識能力があることを判定
上級者の指導のもとにプログラミング作業を行える技術者
プログラミング経験がなく入社して3年目までの組込みソフトウェアプログラマ
大学・専門学校の組込みソフトウェア教育を受けている学生
採点方式点数(スコア)でJASAの証明書が発行される
試験時間90分(アンケートなど含む)
出題形式多肢選択式(四肢択一)120問
受験費用1万5,750円(税込)
受験場所全国約160の試験会場(毎日予約/受験可能)
受験方式CBT方式(コンピュータでの受験)
公式Webサイトhttp://etec.jasa.or.jp/
(社)組込みシステム技術協会
URLhttp://etec.jasa.or.jp/