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異種データベース間でのデータ連携を容易に実現するDataCoordinator Webアプリケーション業務のデータ連携基盤構築に最適

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今回のように表の列が異なるデータ連携の場合には,加工アイコンを使用します。加工アイコンでは,列の増減や列データに対する四則演算,属性変換などを行うことができます。加工アイコンの設定領域にて,列の結合条件を指定します図3⁠。処理設定の領域で右クリックすると,アシスト機能として,列や四則演算,関数の指定が選択できるため,図3のような場合では列名をキー入力する必要もありません。

図3 加工アイコンの設定

図3 加工アイコンの設定

最後にデータ転送先の表に対する列のマッピングを行います図4⁠。入力データは直前のアイコンで出力となる列(今回は,加工アイコンの出力列)が表示されます。マッピングは図4で「入力データ」として表示された列を,出力テーブルの「データ」と表示された位置にドラッグ&ドロップすることで行います。

図4 列のマッピングを設定

※指定画像がありません※

データ連携定義はこれで終了です。列や属性が同一な表であれば加工アイコンも不要であり,転送先の表に対する列マッピングも1回のドラッグ&ドロップで実施できるため,5分もあればデータ連携定義を作成できます。この容易さ,つまり短期間での構築こそが,DataCoordinatorの最大の特長です。

選択可能なデータ連携方式

DataCoordinatorには,一括配信,差分配信という2つのデータ連携方式があります図5⁠。

図5 一括配信と差分配信

図5 一括配信と差分配信

一括配信とは,バッチジョブのように指定した時刻になると,データ連携対象表の全データまたは,条件を指定して選択した対象データを一度に転送する方法です。特定の時間ごとに各データベースのデータを情報系データベースなどに収集したり,深夜(たとえばオンライン業務終了後)に基幹業務の全データを情報系データベースに転送したりする場合に用いる方式です。

差分配信とは,データ連携を実施する転送元と転送先の表データの同期を取った後,転送元となる表に更新されたデータだけを転送先の表へ反映する方式です。データ連携のリアルタイム性が求められる業務では必須の機能となります。DataCoordinatorでは,転送を実施する間隔を1秒から指定できます。また,差分配信では,どのデータまで転送したかをチェックしており,たとえば通信障害などでデータ連携が中断された場合でも,障害復旧後に未転送のデータは再送されるため,データロストは発生しません。また,すでに転送済みのデータが転送先の表へ再送された場合でも,誤って二重に反映しないしくみになっています。

さらに,一括配信,差分配信に共通した機能として,日時などのスケジュール指定に加え,任意のタイミングで一括配信,差分配信を実行することもできます。たとえば,金曜日の10時に実行するスケジュールを作成していたが,今すぐデータを転送したい,といった要求にも対応できます。

アイコン

DataCoordinatorの3つ目の特長は,アイコンとして登録されているさまざまな機能です。データベース間のデータ連携において必要な機能をそろえており,簡単な設定を行うだけでデータ連携定義を作成することができます。

行抽出アイコン
転送元となる表データの絞り込みを行います。たとえば,年齢という列があった場合,20歳以上60歳以下のデータを絞り込むときなどに使用します。行抽出により必要なデータを選択すると同時にデータ連携の対象となるデータ量が絞り込めるため,必要のないデータをネットワークへ流すことを抑制できます。
加工アイコン
加工機能は,データ連携を実施する表の属性差異や異なる列数などを吸収します。それ以外にも,四則演算や文字列の結合,文字列の分割などを行うことが可能です。たとえば,本社データベースの表から各支店にデータを転送する場合,個人情報が含まれる列を削除するときなどに使用します。
条件加工アイコン
条件加工機能は,転送するデータの値によって,加工内容を設定できる機能です。たとえば,年齢という列のデータが「12」の場合に,学年という列に「6年生」と設定するときなどに使用します。
分配アイコン
転送元となる表データを複数の表へ転送します図6⁠。たとえば,本社にある基幹データベースのデータを各支社のデータベースへ転送するときなどに使用します。各支社で独立した業務アプリケーションを構築する場合に有効です。

図6 分配機能

図6 分配機能

著者プロフィール

濱田光保(はまだみつやす)

日本電気株式会社。


白馬智博(はくばともひろ)

日本電気株式会社。