12月3日、グリー株式会社さん主催のもと、六本木にて「Ubuntu 17.10リリース記念 & Ubuntu Weekly Recipe 500回記念オフラインミーティング17.12 」が開催されました。今回はいつもと趣向を変えて、フォトレポートという形でイベントレポートをお届けします。
Ubuntuオフラインミーティングとは
Ubuntu Japanese Teamは主にグリー株式会社さん主催のもと、半年に一度「オフラインミーティング」を開催しています。
これはUbuntuが半年に一度4月と10月にリリースされるので、それにあわせてリリースパーティやりたいよねというのが、主な目的です。「 パーティ」なので食べ物も出ますしお酒も出ます[1] 。せっかくUbuntuユーザーが集まるのだからと前でセミナーをやっていたりしますが、別に後ろでセミナーの邪魔にならない程度の酒盛りをしていてもかまいませんし、なんなら手持ちのデバイスを広げて黙々とハッカソンを行っていてもかまいません。 そういう「ゆるめ」のイベントです。
[1] 若い人も気軽に参加できるようにと、参加費は無料となるように心がけています。ただUbuntu Japanese Teamはただのボランティア集団です。過去に執筆した記事の原稿料・印税収入の一部やサイトのアフィリエイトなどをやりくりすることで、イベントを成り立たせています。
たまに勘違いされるのですがいわゆる「勉強会」ではありません。ただの「パーティ」です。 リリースパーティでUbuntuについて勉強したり、日々の疑問を解消したいのであれば、積極的に詳しそうな人に話しかけたり、自分からセミナー発表に立候補してください。特に後者は主体性をもって調べなくてはならないため、「 こうかはばつぐん」です。
ATNDのページにもあるように、今回のテーマは「 Ubuntuを利用するためのレシピ 」 でした。2008年1月に連載を開始したUbuntu Weekly Topics /Recipe は間もなく連載10周年を迎えます。特にRecipeについてはインパクトのある第500回 が12月6日に公開されています。本連載ではこれまで様々な役に立つ(かもしれない)レシピを届けてきました。これまでの連載や各個人の持っているレシピを肴に普段使っているUbuntuに関する話、Ubuntuとは直接は関係ないFLOSSの話などをネタに、普段出会わない人と気軽に歓談したいという思いからこのテーマに決めたのです。あ、ちゃんと17.10もお祝いするつもりでしたよ。
図1 参加者に配られたRecipe/Topicsのデコチョコ
なお、これまでのオフラインミーティングの様子は、次の記事を参照してください。
今回はほぼ写真だけのレポートです[2] 。きっとイベントの詳細は参加者の方々のブログに満ち溢れているでしょうから。
[2] 「写真+ひと言コメント」のような体裁でもいいならRecipeにレポートを書いてもいいよという方、次回以降に司会が募集した時はぜひ立候補をよろしくお願いいたします。用語の確認、よく聞いてなかった・わからなかった部分のフォローアップなどはJapanese Teamで行いますので、未経験者でも安心です。
Ubuntu Weekly Topics/Recipe 10周年!
Ubuntuオフラインミーティングの魅力は、なんといってもからあげ多種多様なバックグラウンドを持つ登壇者によるセミナーです。UbuntuのようなLinuxディストリビューションは、OSそのものの用途が多岐に渡る上に、お仕事上の作業環境として使われることも多いため、とてもバラエティに富んだユーザーを獲得しています。
よってこれまでのオフラインミーティングのセミナーも、他のプラットフォーム的な特徴を持つソフトウェアのイベントと同じように、さまざまな用途で使われるUbuntuの話を聞くことができました。
今回はテーマがRecipeだったこともあり、Topics/Recipe関係の話がメインとなりましたが、他にもいくつかの発表を行ってくれる方もいました。
Ubuntu Weekly Recipe 500回記念ランキング
トップバッターは本連載の担当編集でもある高橋さんによる「Ubuntu Weekly Recipe 500回記念ランキング 」 。
図2 Topics/Recipeの成り立ち
ランキングは記事公開後一ヶ月間のアクセスを集計したものと、全期間を集計したものの二種類でした。よって、残念ながら第500回などは対象外です。詳しくは発表資料をご覧ください。
特に日本語入力関連のように、比較的「万人に役に立つ」ような記事が多くランクインしました。これまでの連載約500回のうち、いくやさんと柴田が120回ずつと2人でおよそ半分を担当しているため、どうしてもこの2人の記事がランキングに入りがちです。そんな中、吉田さんの第76回 Ubuntuのソフトウェアファイアウォール:UFWの利用(1) や村田さんの第121回 Clonezillaを使ってハードディスクを丸々バックアップ がランキングに入っていたり、編集者選として水野さんの第474回 UbuntuとdarktableではじめるRAW現像入門 が話題にあがったりと、懐かしい記事から新しい記事までいろいろと紹介していました。
図3 日本語入力記事は毎回参考になります
図4 今回もセミナー登壇者にお願いして恒例のじゃんけん大会を開催しました。高橋さんによる、じゃんけん
ibus-skkをなんとかすっぺ会議
二番手はemasakaさんによる「ibus-skkをなんとかすっぺ会議 」 。
原稿によって送り仮名などのスタイルを変えなくてはいけないユーザーにとっては、SKKは特に手が離せないかな漢字変換システムです。ところが、libskk とibus-skk は現在開発者を募集中だそう。SKKを好んで使っている方はぜひ。
(R)Markdownのみで音声つきスライド動画作成
三番手は前田さんによる「(R)Markdownのみで音声つきスライド動画作成 」 。
すべてをR言語で解決しようとする「Rおじさん」が、RとRStudioを使えばスライドの作成から、執筆中の荒んだ心を癒やす動画の再生、さらには発表用のスライドにあわせて人工音声が発声する動画の作成まで行えるよと教えてくれる話です。
図5 さすがのRおじさんも、会場とのじゃんけんにはRではなく手を使っていました
と書いておくと、次回あたりRStudioで音声つきじゃんけんする仕組みを作ってきてくれそうな気がします。
Canonicalの紹介
四番手はCanonicalの柴田さんによる「Canonicalの紹介」 。
図6 Canonicalの柴田さんの発表
Ubuntuを支えている企業としてCanonicalがいるということは本連載の読者であれば知っていることでしょう。しかし、実際にどんな仕事をしているのか、どんなサービスを提供しているのかはあまり知られていないようです。また日本だと、Red HatやSUSEに比べるとコミュニティの外での知名度が格段に低い印象です。そこで、どんな感じで働いているのかどんな人材を募集しているのか、という発表が行われました。
Canonicalで働く場合は英語が必須です。ただ今のところ一次面接は日本語であり、二次面接以降で英語で自分をアピールする形らしいので、「 最初からペラペラである必要はない」とのこと。CanonicalのサイトのCareers から日本での募集中の求人を確認できますので、興味がある方はフォームから相談してみてはいかがでしょうか。
ちなみに求人に関係なく、 Canonicalの企業向け商用サポート購入に関して日本語で問い合わせできる公式の窓口を用意したいとのことでした。
先日、その窓口である問い合わせフォームが設置されました 。
あの話はどうなった〜Ubuntu Weekly Recipeに見るUbuntuの歴史〜
最後はあわしろいくやさんによる「あの話はどうなった〜Ubuntu Weekly Recipeに見るUbuntuの歴史〜 」( PDF) 。
図7 いくやさんの発表
いくやさんの発表では、執筆した記事を肴に「あのころはこうだったよね」「 いまはこうだよね」とあれやこれやと話が展開されていました。
図8 いくやさんは乾杯の音頭もお願いしました
差し入れとデコチョコ
今回もさまざまな人から、いろいろな差し入れをいただきました。
図9 各出版社の方から「じゃんけん大会用に」
Ubuntu Japanese Teamのメンバーも執筆者としてお世話になっている、日経Linuxさんや技術評論社さんから「じゃんけん大会用に」といただいた景品です。
写真左から次のような順番で並んでいます。
ちなみに先日発売されたばかりの日経Linux 2018年1月号 では、Ubuntu 17.10を特集していますのでこちらもぜひ[3] 。
図10 Canonicalさんからはメモ帳とは別に参加者全員にネックストラップを差し入れてもらいました
これらの景品以外にも、お酒の差し入れがありました。
左:図11 参加者が差し入れてくれた逸見酒造の「至」参加者が差し入れてくれた逸見酒造の「至」 。「 500回に至った」ので「至」でしょうか。このお酒 、調べてみたら入手が結構大変そうです。気づいたら飲み尽くされていました。飲みたかった……。 右:図12 技術評論社の高橋さんから山忠本家酒造の「義侠」と惣誉酒造の「惣誉」 。「 gihyo」 →「 ぎきょう」 。この2つもすぐになくなりました。みんな結構、日本酒も飲むんですね。
また今回のイベントでは「Topics/Recipe 10周年」と銘打っていたことから、技術評論社より協賛費をいただきました。せっかくなので参加者全員がお持ち帰りできる何かにしようということで、Topicsでもおなじみの吉田さんが諸々調査・画策し、デコチョコになった次第です。
左:図13 Ubuntu Weekly Topics/Recipeのデコチョコ 右:図14 注文して開封するのがイベント当日だったので印刷品質はドキドキでした
食べ物なので保存はできませんが、DECOチョコボールチェーン などを購入すれば包み紙でキーホルダーが作れますよ!
120人分の食べ物と、その運営
注意: ここからは基本的に食べ物の写真しかありません。
今回は過去最大級の125人の申し込みだったため、食事の量をどうするかが最大の懸念点でした。参加者が増えれば増えるほど、参加キャンセルによる誤差が大きくなりますので、単純にたくさん頼んでおけばいいというわけにもいきません。多すぎず少なすぎずの塩梅が重要です。
実際、からあげは開催ごとに注文量を増やしても、食べきるまでの時間は同じという状態でした。事ここに至って運営側も「からあげ以外の食べ物も増やしたほうがいいのでは?」 と本気で考えるようになります。そこで数回前にも実施した 「 参加者が来場したらとりあえず問答無用で炭水化物を胃袋にインサートする」という悪魔の手法を使うことにしました[4] 。
図15 ウェルカムドーナツとうまい棒
図16 もちろん炭酸でも胃袋を膨らましてもらいます
さらに乾杯のタイミングを遅らせることにしました。これまではある程度入場したら最初のセミナーを開始し、からあげのデプロイとともに乾杯を行うという流れでした。しかしながら、以下のような問題が発生していたのです。
最終受付で入場したら、からあげがなくなっている
受付担当は思う存分からあげを食べられない
最初のセミナー発表時、聴講者の大半はからあげに意識がいっている
そこで今回は乾杯・セミナー開始を大幅に後ろにずらすことにします。その代わり広い会場を利用して、「 からあげフォトセッション」を設けました。
左:図17 撮影用に展開されるからあげ右:図18 見た目の量は少なそうですが……
左:図19 オードブルにもがっつり乗っているのです右:図20 列を作って食事をさばくことにしました
左:図21 右下には涙ぐましい努力のあとが右:図22 誰が言ったか「さながら配給のよう」
図23 スパゲッティはコードのごとく絡み固まっていたのでパージして別提供することに
食事が一段落してセミナーが半分進んだあとは、デザートとして「生ハム(2.4Kg) 」を提供しました。
左:図24 お皿はオードブルの蓋を再利用右:図25 セミナー中に特殊スタッフ「ハムの人たち」ががんばってくれました
次はUbuntu 18.04 LTSです
今回は簡単なフォトレポートとしてお送りしました。
まず最初に、布団から出ることだって決死の思いが必要な寒さであるにもかかわらず、会場まで参加してくださった皆様ありがとうございました。SNSやブログなどに感想を書いて、Ubuntuを宣伝していただけると助かります。次回に向けての要望がある場合は、ぜひUbuntu Japanese Teamに届く形でご連絡ください。できる範囲で応えていきたいと考えています。もちろん次回があるなら発表させろという要望も随時受け付けています。
もちろん本連載が10年も続いたのは、読者がいるからこそです。今後共ぜひご愛読のほど、よろしくお願いいたします。「 こんな記事を読みたい」という提案もいつでも大歓迎です。
最後になりましたが、今回もたくさんの方がこのイベントを裏や表で支えてくれています。毎回六本木ヒルズにある広い会場を提供してもらえている主催のグリー株式会社 さんには頭があがりません。
会場スタッフには早めに会場入りしていただき、買い出しから設営、受付に給仕っぽいことまでいろいろ手伝っていただきました。最近は若い人ががんばってくれるので、当日はだいぶ楽させてもらっています。
図26 司会のサポートをしてくれた@nekomatuさん
図27 Toggeterに当日のツイートをまとめてくれました
またJapanese Teamの身内ではありますが、司会の長南さんには毎度毎度じゃんけんやアナウンス、セミナーの前フリなどいろいろなマイク関連のお仕事をこなしてもらいました。また吉田さんには「からあげ(とついでに食料) 」の調達という重要かつ一番精神と頭と予知能力を使うミッションをこなしてもらいました。この2人がいるからオフラインミーティングが成り立っているので、この記事を読んだ方はぜひねぎらいの言葉をお願いします。
次は2年ぶりのLTSであるUbuntu 18.04 LTSです。もちろんリリースされたらなんらかのイベントを行うつもりです。今回参加できなかった方も、ぜひ次回は参加していただけたらと思います。
図28 18.04のコードネームである「Beaver」