Ubuntu Weekly Recipe

第811回ゴールデンウィーク特別企画 新学生⁠新社会人向けのUbuntuデスクトップ講座2024

Ubuntuは無事(?)に24.04 LTSのリリースを終え、日本ではゴールデンウィークに突入しました。Ubuntuを始めるのにいい機会です。

そこで今回は、過去のRecipeを振り返りつつ、LinuxディストリビューションのひとつであるUbuntuとの付き合い方について紹介します。本記事は2017年に公開した第463回のアップデート版です。

ただしUbuntu 24.04 LTSは過去のUbuntuとはいろいろと違うので、過去記事がそのまま役に立つか難しいところがあるのは事実です。もちろん全く役に立たないような記事は紹介していませんが、あくまで参考程度にしてください。確実に24.04 LTSに対応している記事が必要であれば、いずれ出版されるであろう書籍やムックを待つのがベターです。また開発ツールとしてのUbuntuを知りたいのであれば、発売中のSoftware Design 2024年5月号の第2特集がおすすめです。

Ubuntuとは

Ubuntuが何かわからず本記事を読んでいるという事態は考えにくいですが、一応紹介しておきましょう。UbuntuはLinuxディストリビューションの1つです。すなわちOSです図1⁠。

図1 Ubuntu 24.04 LTSのデスクトップ。背景は変更している
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Windowsの機能であるWSLやHyper-Vでも簡単に使用できるようになっています図2図3⁠。

図2 WSLではすでに24.04 LTSが選択できる
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図3 Hyper-VのゲストOSとしても用意されている
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Ubuntuのいいところは、ユーザーベースが多いのでたくさんの情報があることでしょう。もちろん本連載も含みます。

Ubuntuのサポート期間は、通常版(中間リリース)だと9ヶ月、2年に1度リリースされるLTS(Long Term Support)だと5年間ですが、Ubuntu Proというサービスに加入すると10年にまで延びます。⁠加入」というのは、具体的には「ソフトウェアとアップデート」「Ubuntu Pro」タブで操作できます図4⁠。

図4 ⁠Ubuntu Pro」タブ。24.04 LTSで新たに翻訳された
図4

すなわちUbuntuのLTSは無償で5年間サポートがあり、Ubuntu Proを個人利用(5台まで無償)すれば10年間サポート期間があります。お金がかからず始められ、かつ気に入ってもそのまま長期間無償利用できるというのは大きなメリットです。

Ubuntuは通常デスクトップを指しますが、パッケージ構成が異なるUbuntu Serverも同時にリリースされています。また公式派生版ともいうべきフレーバーもリリースされています。

何をインストールすべきか

Ubuntuは半年ごとにリリースされており、現在通常サポート期間中のUbuntuは次の3つです。

  • 2022年4月にリリースされたUbuntu 22.04 LTS
  • 2023年10月にリリースされたUbuntu23.10
  • 2024年4月にリリースされた24.04 LTS

23.10のサポートは7月で切れてしまう上、24.04 LTSへのアップグレードが促されるので[1]今からインストールする理由はありません。そう考えるとまずインストールを検討するのは24.04 LTSで、何らかの理由でまだ24.04 LTSを使用できない場合は22.04 LTSをインストーすることになるでしょう。Ubuntu 24.04.1 LTSがリリースされた段階(予定では8月)で22.04 LTSから24.04 LTSへのアップブレードが有効になります。

Ubuntu 24.04 LTSの新機能に関しては第810回で紹介しています。しかし第810回は23.10から24.04 LTSへの変更点なので、次の記事で取り上げているそれ以前の変更点も参考になるでしょう。

フレーバーに関しては第808回 Ubuntuフレーバー10種類総ざらいをご覧ください。

何にインストールすべきか

Ubuntuはどんなマシンにインストールできるのでしょうか。実機はもちろん、今どきなら仮想環境のゲストOSとしてインストールもおすすめです。

Ubuntuのシステム要求(system requirements)を見てみると次のようになっています。

  • 2GHzのデュアルコアプロセッサーまたはそれ以上
  • 4GBのシステムメモリ
  • 25GBのディスクスペース
  • インストールメディアを起動するためのUSBポートまたはDVDドライブ
  • 可能であればインターネットアクセス環境

Ubuntu 24.04 LTSのインストールイメージはDVDの片面1層(4.7GB)を大きく超えているため、片面2層以上の容量を持つDVD-Rメディアが必要になりますが、現実的にはそもそも光学ドライブなんてないのが普通になっています。よって、インストールに必要なのは16GB以上のUSBメモリーと考えておきましょう。また、たしかにインストールにはインターネット接続がなくてもなんとかなりますが、このご時世を考えると必須としていいでしょう。

仮想マシンのゲストOSとしてインストールしたい場合は、次の記事が参考になります。

どうやってインストールすべきか

Ubuntuのisoイメージを取得し、実機にインストールするためのUSBメモリーを用意した場合、そのisoイメージをUSBメモリーに転送する作業が必要になります。

UbuntuとしてはbalenaEtcherを推奨しています。そういえばこのあたりは本連載で紹介したことはありませんね。

どんな実機を用意したらいいのかわからない場合は、次の記事を参考にしてください。

特に最近よく見かけるAlder Lake-N(≒Intel N100)搭載PCでも、機種を選べば簡単に使用できるというのは朗報でしょう。

インストール後に何をすべきか

インストール後に行うことは、何はなくてもアップデートでしょう。第671回が、やや古いですがだいたい参考になります。

また、使用しているハードウェアのスペックを引き出す設定も行うといいでしょう。執筆段階ではまだ24.04 LTSには対応していませんが、GPUにRadeonを使用している場合は第705回を参考に専用ドライバーをインストールしてみるのもいいでしょう。

基本的なアプリケーション

基本的なアプリケーションに関しては本連載で多数扱っているため、コメントをつけるとかなりの量になってしまいます。よってリストだけにしますので、タイトルが気になったら読んでみてください。

GNOMEデスクトップ環境

日本語入力

ソフトウェアのインストール

バックアップ

アプリ

ゲーム

UbuntuのコミュニティとJapanese Team

Ubuntuのコミュニティで最も活発に情報交換が行われているのはDiscourseでしょう。とはいえ英語でとっつきにくいのも事実で、日本語フォーラムも利用してください。

日本語フォーラムを管理運営し、本連載を担当しているUbuntu Japanese TeamはUbuntuの日本におけるローカルコミュニティです。オープンソースカンファレンスに参加するなどオンライン/オフラインで普及活動も行っています。かつては「オフラインミーティング」と称してイベントを行っていましたが、ここ数年は途絶えています。今年はUbuntuがリリースされて20年目ということで、記念イベントをやりたいものです。

RecipeとTopics

本連載はUbuntu Weekly Recipeで、原則として毎週水曜日に公開されます。主にUbuntuの活用方法について紹介しています。Ubuntu Weekly Topicsは原則として毎週金曜日に公開されます。主にUbuntuのその週における大きなトピックについて紹介しますが、時々連載名を忘れたディープな解説が入り、Ubuntuに限らない技術的なトピックがわかりやすく紹介しています。

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