Ubuntu Weekly Recipe

第166回 新学生・新社会人向けのUbuntu講座

この記事を読むのに必要な時間:およそ 5 分

春らしい暖かい日が増え,日本にもたくさんの「新人さん」が発生する季節となりました。新しい職場や研究室によっては,新人の最初の作業として「自分用の作業PCにLinuxディストリビューションをインストールする」というイベントに遭遇するかもしれません。

そこで今回は,過去のRecipeを振り返りつつ,Linuxディストリビューションの一つであるUbuntuとの付き合い方についてご紹介します。

ちなみに本連載(Ubuntu Weekly Recipe)は3年以上にわたる連載です。そのため,過去記事で紹介しているインターフェースや手順は,現在と異なっていたり,現在では必要のなくなった回避策である場合があります。過去記事を読む際には,その点にご留意ください。個々の記事では掲載日だけでなく,⁠なぜ設定するのか」や参考となる一次情報サイトも掲載していますので,それらの情報を元に吟味すると良いでしょう。

Ubuntuとは

Recipeの読者には釈迦に説法かもしれませんが,UbuntuとはDebianをベースにしたLinxuディストリビューションの一つ注1で,その使いやすさやコミュニティの活発さが評価され,登場からわずか数年で世界でもっとも人気のあるディストリビューションの一つとなりました。特にCD一枚やUSBメモリ一つあればHDDにインストールを行うことなく体験できるLive環境と,さらにそこからマウスをクリックしていくだけでインストールできるお手軽さは,Linuxに初めて触れる人におすすめです注2)⁠

図1 Ubuntuのインストール画面

図1 Ubuntuのインストール画面

初心者に使いやすいとは言っても,Windows文化にそれなりに触れてきた方であれば,UbuntuやLinuxとの文化の違いに戸惑うかもしれません。第120回「これからUbuntuをはじめるあなたへ」では,そんな違いを説明しています。

注1
Debianは,歴史があり現在も活発に開発が行われているLinuxディストリビューションです。DebianをベースにしたディストリビューションはUbuntu以外にもたくさん存在します。Debian自身も今年1月に最新の6.0がリリースされていますので,こちらを試してみるのも良いでしょう。
注2
もっとも,最近の主要なLinuxディストリビューションであれば,いずれもお手軽に体験できるようになっています。

何をインストールすべきか

一口にUbuntuと言ってもさまざまなバージョンやエディションや派生品が存在するため,何をインストールしていいかわからないかもしれません。そこで,現時点でどのバージョンのどのエディションをインストールすべきかという点について説明します。まず,バージョンについてはUbuntuに,以下のような慣習が存在します。

  • 半年に1回,4月と10月にリリースされる
  • 2年に1回はLTSと呼ばれる長期サポート版がリリースされる
  • リリース番号は,西暦下二桁とリリース月で表される

このため,この記事が公開される時点での最新リリースは,2010年10月にリリースされた10.10となります注3)⁠また,後述するように4月末には11.04がリリースされる予定です。初心者がデスクトップ用途で使うのであれば,より多くの不具合が修正され,より新しいハードウェアにも対応している可能性の高い「現時点での最新バージョン」を選択することをおすすめします。

次にUbuntuには,ユーザーインターフェースや用途に合わせて複数のエディションが存在します。

  • デスクトップ版:GUIのインストーラーが付いている,一番一般的なエディション
  • サーバー版:サーバー用途に最低限必要なものだけをインストールするためのエディション
  • Alternate版:特殊なインストール用途に使われるエディション

Ubuntuと言えば通常はデスクトップ版を指し,次回リリースからは「デスクトップ版」という表記自体も廃止される予定です。

さらに,デスクトップ版には標準でインストールされるソフトウェアが異なる派生品がいくつか存在します。これらのエディション/派生品は初期構成が異なるだけで,後から同じソフトウェアをインストールすることもできます。派生品ごとに特性がありますので,Ubuntu自体を合わないと感じたら,派生品に手を出してみるのも良いでしょう。

Ubuntu Japanese Teamでは,日本語環境向けに調整を加えた派生品として「日本語Remix」を配布しています。初めて使う場合は,これを選ぶことをおすすめします。

注3
最新の長期サポート版は2010年4月にリリースされた10.04になります。通常,リリースから18ヶ月のサポート期間に対して,長期サポート版のデスクトップ版では3年,サーバー版では5年のサポートが行われます。ただし,初めてUbuntuを使う場合は長期サポート版にこだわるよりは,新しい機能が入っている最新のリリースを使った方が良いでしょう。

どうやってインストールすべきか

Ubuntuのテストやインストールは,ISOイメージをダウンロードして,それをCD-RやUSBメモリなどのメディアに書き出して,そのメディアを使って起動し動作確認,最後にインストールという手順になります。

  1. ISOイメージをダウンロードする方法や,CDそのものを入手する方法は,第140回第141回にまとまっています。

  2. ISOイメージをメディアに書き込む方法はJapanese TeamのWikiを参照してくださいCD-Rの場合USBメモリの場合)⁠

  3. メディアから起動した段階は「Live環境」と呼ばれる試験環境になります。この時点でサウンドやネットワークのハードウェアが動作するかどうかを確認すると良いでしょう。
  4. インストールの手順についてもJapanese TeamのWikiを参照してください。

特定の機種でどの程度動作するかは実際に試さないとわからないところがあります。例えば第105回や,第81回第82回など,本連載においても何度か「インストールしてみた」という記事を掲載していますので,どういう視点で確認しているのか参考にしていただければと思います。

既存のWindowsを残したままインストールしたい場合は,いくつかの方法があります。

  • UbuntuのインストーラからHDDのパーティションを分割してデュアルブートする方法
  • Wubiを使ってWindowsの一つのアプリとしてUbuntuをインストールする方法
  • VirtualBoxやVMWareなど,Windows上の仮想環境にUbuntuをインストールする方法

Ubuntuをメインに使い,Windowsを起動することはあまりないのであればデュアルブートが良いでしょう。Windowsをメインに使う場合は仮想環境を使う方法がいいかもしれません。このあたりの詳しいことは,第95回第96回第97回にまとまっています。

図2 Windows上のVirtualBoxで動くUbuntu

図2 Windows上のVirtualBoxで動くUbuntu

インストール後何をすべきか

うまくインストールできたら,まず行うことは「アップデート」です。Ubuntuのアップデートではセキュリティアップデートと,リリース後の不具合修正の二種類が存在します。これらは常に適用されていることが望ましく,アップデートが必要になったら「アップデートマネージャ」が自動で立ち上がり,利用者に通知を行います。通知に気づいたら,なるべく早く適用するよう心がけてください。インストール直後はこれまでリリース以降に公開されたアップデートをすべて適用する必要がありますので時間がかかるかもしれません。なお,アップデート後に再起動が必要な場合はアップデート完了後に通知されます。

このアップデートは,個々のリリースで設定されたアップデートの期間であればずっと提供されます。サポート期間を終了したものはEOL(End Of Life)と呼ばれるアナウンスがなされ,以降アップデートは行われなくなります(以下の表を参照)⁠2009年10月にリリースされた9.10は間もなくEOLを迎えるため,ユーザは10.04以降にアップグレードすることが強く推奨されます。第83回では自動でアップデートを適用する方法や,特殊なアップデートについて説明しています。

表1 Ubuntuのサポート期間

コードネームバージョンリリース日サポート期限
Natty Narwhal11.042011年4月28日(予定)2012年10月(予定)
Maverick Meerkat10.102010年10月10日2012年4月
Lucid Lynx10.04 LTS2010年4月29日2013年4月(デスクトップ)
2015年4月(サーバ)
Karmic Koala9.102009年10月29日2011年4月

その他,第65回では「Ubuntuインストール直後にすべき10のこと」と題していくつかの設定Tipsを紹介しています。また,第67回第68回第100回ではJapanese Teamのメンバーが,インストール後に行っている設定などを紹介しています。

著者プロフィール

柴田充也(しばたみつや)

Ubuntu Japanese Team Member。数年前にLaunchpad上でStellariumの翻訳をしたことがきっかけで,Ubuntuの翻訳にも関わるようになりました。

コメント

コメントの記入