Ubuntu Weekly Recipe

第463回 新学生・新社会人向けのUbuntuデスクトップ講座2017

この記事を読むのに必要な時間:およそ 7 分

春らしい暖かい日が増え,日本にもたくさんの「新人さん」が発生する季節を迎えました。新しい職場や研究室によっては,新人の最初の作業として「自分用の作業PCにLinuxディストリビューションをインストールする」というイベントに遭遇するかもしれません。

そこで今回は,過去のRecipeを振り返りつつ,LinuxディストリビューションのひとつであるUbuntuとの付き合い方について紹介します。本記事は2011年に公開した第166回のアップデート版です。

ちなみに本連載(Ubuntu Weekly Recipe)は9年以上にわたる連載です。そのため過去記事で紹介しているインターフェースや手順は,現在と異なっていたり,現在では必要のなくなった回避策である場合があります。過去記事を読む際には,その点に留意ください。個々の記事では掲載日だけでなく,⁠⁠なぜ設定するのか」や参考となる一次情報サイトも掲載していますので,それらの情報を元に吟味すると良いでしょう。

Ubuntuとは

Recipeの読者には釈迦に説法かもしれませんが,UbuntuとはDebianをベースにしたLinxuディストリビューションのひとつで※1)⁠その使いやすさやコミュニティの活発さが評価され,登場からわずか数年で世界でもっとも人気のあるディストリビューションのひとつとなりました。特にDVD一枚やUSBスティックがあればストレージにインストールを行うことなく体験できるLive環境と,さらにそこからマウスをクリックしていくだけでインストールできるお手軽さは,Linuxに初めて触れる人におすすめです※2)⁠

※1
Debianは,歴史があり現在も活発に開発が行われているLinuxディストリビューションです。DebianをベースにしたディストリビューションはUbuntu以外にもたくさん存在します。Debian自身もまもなくリリースされるであろう9.0(Stretch)の最終調整中なので,こちらを試してみるのも良いでしょう。
※2
もっとも,最近の主要なLinuxディストリビューションであれば,いずれもお手軽に体験できるようになっています。

Ubuntuの場合,イメージのインストールやソフトウェアのアップグレードにおいて料金が発生することはありません。すべて無償で提供されています。他のLinuxディストリビューションと同様に,公式のソフトウェアリポジトリから何かをインストールするからといって何か追加の料金が必要になることもありません。もちろん有償のサポートサービスや機能は存在しますので,それを別途使う場合は料金が発生しますが,個人的に使うだけであれば必要になるケースはまず存在しないでしょう。

ちなみにUbuntuが初心者にとって使いやすいとはいっても,Windows文化にそれなりに触れてきた方であれば,UbuntuやLinuxとの文化の違いに戸惑うかもしれません。第120回「これからUbuntuをはじめるあなたへ」では,そんな違いを説明しています。

何をインストールすべきか

一口にUbuntuと言ってもさまざまなバージョンや派生品(フレーバー)が存在するため,まずはどのイメージをインストールしていいかわからないかもしれません。そこで,現時点でどのバージョンのどのエディションをインストールすべきかという点について説明します。まずバージョンについてはUbuntuに,以下のような慣習が存在します。

  • 半年に1回,4月と10月にリリースされる
  • 2年に1回はLTSと呼ばれる長期サポート版がリリースされる
  • 通常リリースのサポート期間は9ヶ月,LTSのサポート期間は5年である
  • リリース番号は,西暦下二桁とリリース月で表される

このためこの記事が公開される付近での候補は次の3つになります。

  • 2016年10月にリリースされた最新の16.10
  • 2016年4月にリリースされた長期サポート版である16.04
  • 2017年4月にリリース予定の17.04

通常版のサポート期間が9ヶ月である以上,ほぼ半年に一回メジャーアップグレードが必要になります。会社の端末のような,長期間安定的に動作することが求められるような端末であれば,直近の長期サポート版のインストールが無難でしょう。よって現時点では「Ubuntu 16.04 LTS」をおすすめします※3)⁠ただし,Kaby Lakeのようなより新しいハードウェアを使う場合は,17.04のような新しいリリース(カーネル)でないと動作しない可能性があります。

※3
元の記事である第166回の頃は,LTSのリリース期間に比べてデスクトップ環境の進歩が早かったこと,通常リリースでも18ヶ月と長めのサポート期間だったことから,デスクトップ用途では通常リリースをおすすめしていました。最近はより最新の機能を求めるのでなければ,LTSをおすすめしています。

ちなみに長期サポート版は,おおよそ半年に一回「ポイントリリース」と呼ばれるアップデート適用済みイメージを公開しています。16.04であれば2月にリリースされた16.04.2が最新版です。Ubuntuの公式サイトからダウンロードする際も特別な操作を行わなければ16.04.2が選択されます。

次にUbuntuには,ユーザーインターフェースや用途に合わせて複数の派生品(フレーバー)が存在します。⁠Ubuntu」そのもので言うと,インストールイメージとして「デスクトップ用」「サーバー用」の2種類が存在します。⁠デスクトップ用」はデスクトップ環境を用意する際に最適なイメージで,⁠サーバー用」はサーバー用途で使うマシンにインストールする際に最適なイメージです。ただしどちらも,最初にインストールされるパッケージが異なるだけで,インストール後にデスクトップ環境やサーバーアプリケーションをインストールすることは可能です。そのマシンの用途がなんであるかを考えた上で選択してください。今回はデスクトップPCにUbuntuをインストールすることを前提に説明を続けていきます。

Linuxには多種多様なデスクトップ環境が存在します。そこでUbuntuには派生品(フレーバー)として,標準でインストールされるデスクトップ環境が異なるイメージも提供しています。代表的なものをあげていきましょう。

  • Ubuntu: ⁠Ubuntu」と言えば基本的にこれ。GNOMEベースのアプリケーション群に加えて,デスクトップシェルとしてUnityを採用している。
  • Kubuntu: GNOME/Unityの代わりにQtを利用したデスクトップ環境KDEを採用したフレーバー。
  • Ubuntu GNOME: デスクトップシェルとしてUnityではなくGNOME標準のGNOME Shellを採用したフレーバー。
  • Xubuntu: GNOME/Unityの代わりにデスクトップ環境としてXfceを採用したフレーバー。
  • Lubuntu: GNOME/Unityの代わりにデスクトップ環境としてLXDEを採用したフレーバー。
  • Ubuntu MATE: GNOME/Unityの代わりにデスクトップ環境としてMATEを採用したフレーバー。

Ubuntu以外も長期サポート版を提供していますますが,3年と短めであることに注意が必要です。⁠はじめてLinuxを触る」のであれば,情報の多いUbuntuを選んでおくことが無難です。将来的にデスクトップ環境のみを変更できますので,Linuxの操作になれてきてからいろいろ試してみると良いでしょう。他のLinuxディストリビューションを使った経験があるのであれば,そのディストリビューションで採用していたデスクトップ環境に合わせるのもひとつの手です。

ただしデスクトップPCとしてUbuntuを使いたいのであれば,比較的スペックの高いマシンを要求します。ここ数年で発売されたマシンで,メモリが2GB以上載っているのであれば難なく動きますが,⁠Linuxだと軽いから古いPCでも動くよね」とWindows XPがプリインストールされていたようなマシンをあてがわれた場合,Ubuntu以外の軽量なフレーバーやディストリビューションを選びましょう。とりあえずXubuntuを動かしてみて,それでもダメそうなら今一度そのマシンの用途とスペックについて相談するのがいいでしょう。

ちなみにUbuntu Japanese Teamでは,Ubuntuをベースに日本語環境向けに調整を加えた派生品として日本語Remixを配布しています。日本語Remixには主に日本語環境で使うためのさまざまな調整が加えられていたものの第300回)⁠最近ではそのほとんどが公式イメージに取り込まれています。よってあえて日本語Remixを使う意義は少なくなりつつあります。雑誌の付録としてUbuntuのインストールイメージが付属していたらそれは日本語Remixかもしれません。そのような場合なら,そのイメージを使ってインストールすれば良いでしょう。

著者プロフィール

柴田充也(しばたみつや)

Ubuntu Japanese Team Member株式会社 創夢所属。数年前にLaunchpad上でStellariumの翻訳をしたことがきっかけで,Ubuntuの翻訳にも関わるようになりました。

コメント

コメントの記入